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Iさん(女生徒)都立日比谷高等学校出身

クリスマス休暇が終わり、だんだんと日が昇るのが早くなってきたのを感じます。秋タームを振り返ると、兎に角忙しく、締め切りに追われていたというのがいちばんの感想です。パーソナルステートメントや大学への出願などももちろんそうなのですが、これらはどの3期生にも共通することだと思うので今回は少し違うことについて書きたいと思います。

1つ目は歴史のコースワークについてです。これはA-levelの評価の一部に含まれるもので、普通の時間制限のあるテストと違い自分でテーマを決めてそれについて長いエッセイを書くというものです。コースワークがある科目は他にもいろいろあるようで、それぞれの生徒の興味のあることを追求できる良い方法だと感じました。私はもともと15世紀後半のイングランド王であるリチャード3世について興味があり、また昨年授業でも扱ったのでもっと掘り下げてみたいと思い彼をテーマに選びました。
たった2年間しか王位についていなかったものの、甥からの王位簒奪、そしてその甥を殺したのではないかという疑惑、ヘンリー・チューダー(エリザベス1世やヘンリー8世で有名なチューダー朝の創始者です)との決戦に挑むも戦死、2012年に駐車場の下からの遺体発見などなど、謎とロマンに満ち溢れた人物であり、特にチューダー朝の時代、プロパガンダとして彼らが倒したリチャード3世を特に極悪非道な人物として後世に伝えたために実際の姿や王としての当時の評判が見えづらくなっているというのもとても面白いところだと思います。
テーマは基本的に自由なので、他にはマーガレット・サッチャーやサフラジェット(イギリスで女性参政権を求めて運動した人たち)、太平洋戦争を扱っている人などもいました。秋のハーフターム休みはほとんどずっとコースワークのために歴史の本を読んで過ごしていました。様々な歴史家の意見や当時の資料にあたって説得力のある論を形成するのは言語が英語であるだけ余計に大変ですが、勉強すればするだけわからないことが増えるのもとても面白く、結局好きなことを追っていたのでとても楽しい機会でした。

2つ目は大学受験のための課題やポートフォリオについてです。私は地球科学とどちらにしようか迷いに迷い続けた末建築学科に出願することになりました。今ももちろん地球科学を学びたい気持ちもとても強くあるのですが、昨年1年間文系・理系・芸術を混ぜてA-levelで勉強したのが自分にはかなり合っており、理系の勉強だけでなく人文系の勉強もしたい(特にコースワークを通して感じました)し冬にデザインコンテストに参加したのがとても楽しかったのでデザインに関連することもしたいと思い、やたらと広い自分の興味の幅をいちばん生かせそうな建築学科に決めました。
また東京と全く異なるバースの街並みの中で過ごし、特に日本にいると感じられないことや知ることのできないことが海外にいることで学べる科目なのではないかとも思いました。建築学科の入試プロセスというのは他の学科とかなり違い、面接時に事前に作成したポートフォリオと呼ばれる作品集のようなものを見せることが必要な学校が少なからずあります。これは芸術系のコースに出願する人はみんな共通で自分の周りでも何人か作っている人がいました。
私はそもそも大学出願用のポートフォリオというものがどういったものなのか最初はわからず戸惑いましたが、学校の先生やガーディアンの会社の方のアドバイスをいただきながら完成させることができました。また学校によって他にもやることがあり、例えばケンブリッジ大学はライティングとドローイングのテストがオンラインで実施されました。
またUCLからは課題がメールで送られてきて、短い作品を2週間程度で完成させたりすることが必要でした。これはテーマに沿っていればかなり自由度が高く、コミックブック、絵コンテ、パラパラマンガ、動画など自分の好きな表現方法を使うことができ、私は写真とスケッチを組み合わせてマンガのようなものを作りました。これらの課題を通して感じたのは、自由度が高い分自分でたくさん考えることが求められるということです。特に作品が視覚的なものなので、レイアウトやフォントの違い、作品の順番など少しの違いで個性が強く出ます。
また面接の中でそれらについて話さなければいけないので、ただなんとなくきれいだったから描いた、というだけでは十分でなく、なぜ自分はこの作品を作ったのか、なぜここでこの色を選んだのか、なぜその画材なのか、などとたくさん自分に問わなければいけないことがありました。大学入試のためという重荷のかかる状態でではありましたが、こうして今までなんとなくでしかやっていなかったもの後ろ側にある自分の思考を少しはっきりさせることができ、準備のために必要だったプロセス自体が自分自身にとってとても有意義なものであったと終わってから改めて感じています。

11月には2度目のロックダウンがありましたが、このようにいろいろとやることがあったおかげである意味ずっと寮にいても全く暇にならず過ごすことができました。2021年1月の現在は3度目のロックダウンが始まったところで、授業も再びしばらくオンラインになりました。不確かなことも多いですが、今タームも悔いの残らぬように1日1日過ごしていきたいと思います。