お知らせ

【Christ's Hospital】 Mさん(女生徒・都立日比谷高等学校出身)

今年の初めに前回のレポートを書いてから、私の生活は完全にA Level試験に向けた勉強へとシフトしました。どの教科も学習内容をすべて終えて、授業もテスト対策が中心に。図書館や自習スペースは私たちの学年のみんなで溢れて、自分は受験生なのだという実感が日に日に増していきました。

試験は各教科3-4回。日程も教科によって違い、大体の文系教科は五月の終わりに、理系教科は六月初めから中間に試験があります。経済の試験が早めにあり他の理系教科が六月後半まで伸びた私は、計一か月以上の長い試験期間を過ごしました。別の試験日程の友達が早く受験生を卒業していくのを見ながらの試験勉強はすごく長く感じたけれど、その分全ての試験が終わった時の爽快感は格別でした。

2019年の前半の試験勉強のうちで、私の心境に大きな変化がありました。それは進路についてです。二年間の高校生活の中で、私は一番最初のレポートに書いた「アンテナを広げる」ことを忘れずに続けてきました。でも、アンテナを張り続けることに集中するあまり、どのアンテナをより伸ばしていきたいのかにまで考えを及ばしていませんでした。私は自分がほんとうに大学で学びたい学部を選んだのか自分に問い始めました。半年間自分を見つめ直して、私が出した答えはPPE(Philosophy, Politics and Economics)が学びたいということでした。これは私が大学からもらったオファーの学部とは違うものです。学部を変えるにはもう一度大学に出願しなくてはなりません。つまり、一年間のギャップが空きます。大きな決断でしたが、自分の学びたいことを学ぶことが一番大切だという想いを貫くことにしました。

二年ぶりの日本滞在を一ヶ月で切り上げ、八月にはPPE志望の人が世界中から集まるサマースクールに参加しました。周りの友達の圧倒的な知識量とディベートの上手さ・・・たくさんの刺激をもらったけれど、それ以上に自分はこの人たちと受験で戦わなければいけないことへの不安も募りました。そんな時、ロンドンで財団理事長の田崎さんご夫妻とお話をする機会を頂きました。お二人の「日本人としてのバックボーンを忘れない」というお言葉にはっとしました。私は今まで、どうしたらネイティブのようにうまい言葉運びができるのか?どうしたら彼らのような英語が話せるのか、エッセイが書けるのか?とばかり考えて、そして不安を募らせていました。もちろん、英語の部分でもっと成長することは必要なことです。でもその中で、私は自分にしかないものを大切にすることを忘れていました。日本で生まれ育ったこと、今までの二年間でたくさんの異文化を経験してその中で学んだことは他の人にはない私だけのものです。そのことに自信を持って堂々と自分を表現する。お二人とのお話で、私はイギリスに来る前に持っていた大切なものを思い出すことができました。

現在はロンドンに住み、学校の先生やメンターの方と連絡を取りながら受験生活を送っています。せっかくのギャップイヤー、目標を明確にして自分を成長させられるものにします。