お知らせ

Yさん(University College London , Economics / Christ's Hospital出身)

今回のレポートでは、2021年秋から2022年夏に大学を卒業するまでの、大学3年生(最終学年)として過ごした1年間について報告したいと思います。

勉強面について
イングランドの大学は、一般教養科目などを学ばず、3年間専門科目だけに専念するのが基本です。そのため、私の学んでいた経済学部では、大学3年生時には、自身が興味を持つ分野の授業のみを選べる完全な選択式でした。
私の場合、学部生時には経済学をできるだけ幅広く勉強したい思いがあったので、大学2年生時に学んだもの(Microconomics, Macroeconomic Theory and Policy, Quantitative Economics and Econometrics等)とは異なった観点から経済学について考えられる分野の授業(Game Theory, Behavioural Economics, Environmental Economics, Economics of Regulation, Network Science for Economics等)を履修しました。
これらの授業は、今まで学んだきた経済学についての現在主流の考え方や統計学の手法をベースに、さらに心理学や環境学、ネットワークサイエンス等別分野の要素を融合して経済学について考えていて、より実社会の課題や論点に対して包括的に考えられるきっかけを得られたと感じています。経済学ではカバーできない問題を定義し、どの要素をどう統計学の手法に落として考慮するべきなのかを考えるのは、今まで学習してきた内容への理解力と応用が必須でしたが、その分大変刺激的でした。

生活面について
コロナウィルスに関する状況については、昨年度から大きく変わっていました。
大学は年度初めからFace-to-Face形式に戻すことに注力しており、当初はワクチンの推奨や頻繁にLFT検査を行うことによって安全性を示し対面授業を推奨していましたが、政府の方針転換 (陽性と診断されても無症状なら自粛する必要がなくなったの)をきっかけに、化学部など学部によっては対面授業に出席することが強制になるなど、パンデミック以前の形式に戻りました。
経済学部でも昨年度はオンライン主体であった授業やチュートリアルの形態は、最終学年の今年度は(他の学年より)優先的にFace-to-Face形式に戻りました。1年半ぶりに会う人がほとんどであったため積もる話も多く、実際に以前のような環境に戻れて大変心嬉しいことを実感しました。

大学以外の部分では、友人とソサイエティや旅行・イベント等に参加したりしていました。
さらに、パンデミック中に起業している友人も多くいたため、その業務に携わったりもしていました。日本市場への進出を中心に手伝っていましたが、架け橋の役割として関われたことを嬉しく思うと同時に、パンデミックの最中にもこれをチャンスにしようとする前向きな姿勢に感心させられました。
また、イングランドであった人達の 人を動かす力やそれに付随する交渉力 については、特に学ばされました。誰かに手伝ってほしい時や枠組み・ルールを交渉したい時等に、どのような理由・メリットがあるからと日頃からストーリーを筋立てて人を納得させる力の高さを実感しただけでなく、周囲を巻き込み何かを始めようと思った時に賛同してくれる人を増やすためには、最終的な目標像を作ったりそのためのポジションを確保することが必要なことやそのコツを学べたと感じています。

最後に
今年の6月をもって大学を卒業し、5年間の留学も終わりを迎えました。
イギリス人のみならず世界各地からの留学生と共に、2年間のChrist’s Hospitalでのボーディングスクール生活と3年間のUCLでの大学生活を通じて、恵まれた環境と世界最高レベルの教育を受けられたことは、自分の人生として素晴らしい経験となり、非常に多くのことを学ぶことができました。これらは私の留学の目標であった「日本そして世界に貢献できるグローバル人材になること」を今後達成するためには必要不可欠なものだと確信しています。
今年の7月からは投資銀行で社会人として働き始めることになりますが、この5年間で得られた貴重な経験をベースに、この目標の達成に向けて今後もさらに勉学に精進していきたいと思います。
そして最後になりましたが、このような素晴らしい機会をくださったTazaki財団の方々とこの5年間支えてくださった皆様、これまで誠にありがとうございました。