お知らせ

Yさん(女生徒)国立東京学芸大学附属高等学校出身

一年が過ぎるのも早いもので、親元を離れた生活にてんやわんやだった私も無事、year 12を修了することができました。30度を超えていた6月下旬からは一転、じめっとした寒い夏休みを過ごしています。

Summer Termという名前にもあるように、今学期はどことなく学校の雰囲気も明るく、開放的だったように感じます。Parents Day, Beating Retreatなどの対外イベントや、私たちyear 12にはDeps Dinnerといったドレスアップする機会もあり、個人的には一番楽しかった、しかしながら何かとトラブルに見舞われた学期だったなと思います。

学期初めにSummer Assessmentという大学受験において重要なPredicted Gradeに反映されるテストを受けたので、それについてまず報告させていただきます。哲学、数学では自分の納得のいく成績を取ることができ、さらにEpistemologyというyear12哲学の二つある体系のうちの一つでは学年トップになることができました。もう片方のMoral Philosophyが多少足を引っ張る形になってしまったため、更なる長いエッセイを書く練習の必要性を痛感しております。授業や課題ではそこそこの点数を取れるようになってきていた歴史でしたが、今回のテストはとても満足できるような出来ではなく、先生にも驚かれてしまいました。初めての本格的な時間制限付きのテストで焦ってしまったこと、後から見返すとエッセイのトピック選びを間違えてしまっていたことなど、反省の残る結果です。

このテストの結果と、学期初めに起きた大事件をきっかけに、私は(私的には)ある大きな決断をいたしました。

もうお気づきの方もいるかも知れませんが、私の大本命の美術史。四月にテストを受けたにも関わらず、その成績は八月となった今現在も返ってきていません。というのも、美術史の先生が急遽退任なさることが決定され、その先生がテスト用紙を持ったまま教職から退いてしまったのです。同じ美術史を取る友人たちと学校のAレベルのトップに直談判しに行ったりもしたのですが、未だ何故その先生が辞められたのか、来年の美術史Aレベルはどうなるのか、何もわかっていない状態です。

美術史を学びたくてイギリス留学に来ているようなものだった私に取ってはまさに青天の霹靂で、今も今後についての不安は残っています。しかし、学校側もSummer Termの間はオンラインの先生を手配するなど、出来る範囲の対応はしてくださりました。(オンラインの先生に来てみてもらったところ、元々の先生は間違ったシラバスに基づいて教鞭を執っていたことが判明し、たったの6週間で1年の総浚いをするという別の事件もあったのですが…)

これらの事態を受けて、今の時点の実力では、美術史と歴史で満足のいく成績を取れるだけの勉強量を確保し、両立させることは難しいだろう、という考えに至った私は、来年以降は歴史を落とし、美術史、哲学、数学(、日本語)の3科目で受験する決断をしました。

両親からはせっかく一年頑張ってきた歴史を無に帰すのは惜しいのではないかとも言われましたが、「私にとって力を入れたいのは美術史で、歴史をAレベルとして取ることをやめたからといって、その知識が無駄になることはなく、むしろ美術史を学ぶ上で役立ってくるはず」「今ここで決断をしないで両方とも中途半端に終わらせる方がもったいない」と説得し、tutorや他の先生方の助言もあって、最終的には来年度以降は歴史を落とすことに賛成してくれました。

この決断に悔しい気持ちがないと言えば嘘になりますが、自分で辿り着いた結論でもあるので納得しています。三教科に専念すると決めたからには、どの教科でも自信を持って満足したと断言できるような成果をあげられるように、より一層励んでいきたいと思っています。

学術面以外では特別なドラマはなく、楽しく平和に過ごしています。アクティブはテニス、ヨガ、水泳を取り、競争的なスポーツをするというよりは、友人たちとまったり運動を楽しみました。特にヨガや水泳は、適度に周りの人と話しながらも自分の時間で考えに耽れるので取って大正解だったなと思います。また、放課後の課外活動ではChrist’s Hospital Review of Artsという雑誌(文芸誌?)の立ち上げに関わりました。立ち上げメンバーが生徒2人と先生1人のみ、と過疎りに過疎った活動でしたが、その分充実した時間を過ごすことができました。具体的には、学校に飾ってある彫刻や絵画の分析を記事にしたり、先生へ学校の芸術教育や若手の芸術家を支援するプロジェクトについてインタビューをしたり、アート一般に関心のある友人に記事の執筆の依頼をしたり、私の学校についての記事を書いてくださったジャーナリストの方に取材のアポを取ったりなど、手広く活動しました。まだ人数も少なく、雑誌の発行にも至っていませんが、Christ’s Hospitalの人文学系の総集となるような雑誌を目指して、来年も活動を続けていく予定です。

これまでのレポート通り、今回も文化考察や自分の目標などを入れようと思っていたのですが、すでに2000字を突破してしまったため、今回のレポートでは割愛させてください。

最後になりましたが、一年を通して、私の留学生活をサポートしてくれたTazaki財団の皆様、先生方、家族、友人たちには感謝してもしきれません。特に、夏にかけては大学見学のためにスコットランドへ行ったり、イタリアのサマースクールに参加したり、私のわがままを叶えていただくことが多くありました。そんな私を優しく支えてくださった周囲の方々への感謝の気持ちを忘れず、あと一年、ご期待に添えるよう、そして自分の納得のいく結果に辿り着けるよう、気を緩めることなく一層精進していきたいと思います。