お知らせ

Uさん(男生徒)国立東京学芸大学附属高等学校出身

夏学期が終わりスコットランドでも暖かくなってきました。20度にとどかない日もおおいというスコットランドの肌寒い夏を経験し、東京との気候の違いに少し戸惑っているところです。もうすぐで渡英してから一年がたつということが少し信じがたい上に、振り返ってみて人生の中でもすごく刺激的で充実した一年間だったと感じます。

今学期は一年の中での最終学期であるということもあり、テストやコースワークが多くとても忙しい学期でした。数学と物理のテストはとてもうまくいき、満足できる成績を取ることができたのですが、アートと歴史で少し手こずってしまった部分もありました。またEPQとよばれる研究教科のエッセイの仕上げや歴史のコースワークなどにも本腰を入れ始めたため、テストが終わってもエッセイを書き続けたり先生の所に通い詰めてフィードバックをいただいたりなど、学業面でとても充実した期間だったと思います。
大学に提出するPersonal Statementの下書きも始まりいよいよ大学出願に向けての準備が本格化してきました。Personal Statementでは一人一人に個人のやりたい教科に沿った先生が担当としてつき、添削や改善をしていただけます。僕の場合大学にはポートフォリオを提出しなければいけないため、その準備や学術的な本を読んだりと大学に向けての基礎作りに励んでいます。そのほかにもケンブリッジ大学主催のDesign Competitionにグループ参加したりして課外活動のほうも力を入れているところです。
夏学期は学業的に忙しいのですが、やはり学校行事も充実していたように思います。いろいろなスポーツや楽器などの寮対抗大会があったり、一年の終わりということで寮で街に出かけたり、バーベキューをしたり、表彰式があったり、コンサートやピクニックもありました。保護者の参加が可能なピクニックでは友達のご両親などと話し、とても有益な話を聞けたりととてもアットホームな経験ができました。学校行事だけでなく、ボランティア関係でも少し活動をしました。友達から誘われて助っ人として参加したのですが、学校のSustainability Societyによって企画されたエジンバラ郊外のCramond Beachと呼ばれるビーチでごみ拾いをしました。活動中に向けられる待ちゆく人の目が優しいのがうっすらと感じ取れ、現地のコミュニティがボランティアを支援しているという姿勢がうかがえました。
夏学期になる前のイースター休暇についても少し触れたいと思います。まず休暇が始まると同時に学校のイタリアへのスキー旅行に参加しました。今まで話したことのないような人たちとも話せるきっかけになり、とても充実した一週間の旅行となりました。イタリアに行った時に深く感じたことが、イタリアの現地の人たちが僕らとつたない英語で自信をもって話していたということです。ホテル従業者やスキー場の方たちなどは外国人と触れることが多いからかもしれませんが、あまり英語が得意でもない人でも自信をもってはきはきと話しかけてきてくれました。一般的に日本人はできないことに負い目を負いがちだと思いますが、それとは対照的に英語を話すことに一切の不安を感じさせない話しかけ方をしてくる現地の人たちに言語以上のものを感じました。言語というものは生活するうえですべてにかかってくる問題ですが、それ以上に自分の持っているポテンシャルを言語の問題のせいで人に見くびられないように威厳を持つというスタンスがどれだけ大事であったかに気づかされました。

スコットランドにて約一年生活してきて、差別について思ったことを少し今回は書き記したいと思います。差別という言葉にするにはすこし大げさには感じますが、アジア人に対しての対応が少し違うなと思う節がこれまで何度かありました。勘違いをして欲しくないのは、アジア人が暴言を受けたり、機会が不平等だったりという差別には一年間全く会いませんでした。しかしアジア人を少し軽視しているという印象を何度か受けたことがあります。たとえば、黒人についての人種的ジョークなどはあまり聞きませんし、少しタブーのような扱いになっています。一方でアジア人ということに対してのジョークは頻繁に聞きます。最初は僕は人種的ジョークも全く普通なものだと思って聞いて笑っていたのですが、友達とかは黒人に対するジョークは明らかに避けているなと感じました。これは黒人差別が重大視されていることが要因だと思いますが、アジア人に対しての意識はいまだ薄いように感じます。
また、僕の学校は割とインターナショナルでいろんな国から人が来ている影響で学校で英語以外の言語、たとえば中国語、フランス語、スウェーデン語、イタリア語などをしばしば聞きます。一度友達が、中国語を話している人たちを見て“中国人同士で固まらないでほしい”などといったことを聞いたことがあります。しかしフランス人の友達たちがフランス語で話している時などには別に何も言わなかったりします。ほかにも学校にはAsian Societyと呼ばれるアクティビティがあります。それにたいして友達何人かが、“意味あるのか”や“アクティビティにする必要ない”などということを言っていました。しかし例によって学校の黒人差別史イベント、ほかにもLGBTQ+や性差別関係のイベントなどには友達たちは何も言わないどころかサポートしていました。 こういうことは生活に特に支障のないような意識の違いなだけで不利益を受けることはほぼないです。友達からの対応がアジア人だからと言って変わることも全くなければ、人種かかわらず皆仲いいです。しかし意識の根底にアジア人を少し軽視している部分の存在をしばしば感じることがありました。

少し暗い内容になってしまいましたが、ここまでおよそ一年間本当に充実した日々を送れました。学術面ももちろん、生活面や運動面でもいろいろ挑戦することができ、渡英前の目標であった“5年という期間を長い期間と考えず挑戦し続ける”という目標に沿って日々を過ごせていると思います。このようなかけがえのない経験ができているのも、財団様の多大なご支援のおかげです。ここまでサポートしてくれている友達、先生方、何よりも家族にも心から感謝しております。次の年はとても忙しくなると思いますが、初心を忘れず精進していきたいと思います。