お知らせ

Nさん(男生徒)都立国立高等学校出身

ちょうど留学してから2年という節目を迎えているので、留学してからの2年間を振り返ろうと思います。

まず渡英してからサマースクールに2ヶ月間通いました。渡英する前は、英語はどちらかというと苦手な科目で自信もありませんでしたが、この2ヶ月間で特にリスニング面で英語力が向上したと感じました。
また、外国の人とのコミュニケーションにもなれることができました。私は旅行でしか海外に行ったことがなく、海外の学校に進学することがとても不安でしたが、実際に外国人と生活することで、日本人も外国人も関係なくみんな同じ人間だということを、体の芯から認識することができました。当たり前だと思っていても、やはり17年間ずっと日本人としか関わっていなかった私からすると、このような意識を持つまでには時間がかかりました。

サマースクールが終わり、次にKingswood Schoolへ進学しました。この学校で2年間みっちりとA levelの勉強をしました。勉強だけではなく、寮での共同生活やプレゼンテーション大会への出場、友達との付き合いなど様々なことを経験しました。突然にして、日本で快適に過ごしていた生活が180度変わり、その変化に順応するのには苦労しました。ただ、最終的に高校卒業・大学進学まで辿り着くことができました。この学校で特に記憶に残っていることを綴ろうと思います。

それは自分が今まで持っていた「人という存在」の見方と、英国で出会った人が持っていた見方の違いです。私は人というのは勤勉であることが美であり、実際私の周りにも勤勉である人、あろうとしている人が多いと感じます。受験生は寝る間を惜しんで勉強するべきだし、苦しいときほど努力をしてその状況を打開すべきである。こういった思想を持っていました。しかし、英国の先生からのアドバイスで全く違う価値観に触れることになりました。

私が英国の高校に入学してから半年ほど経った頃、初めての大きなテストがありました。私はそれまで、非常に熱心に勉強へ取り組んでいたので、自信を持ってそのテストに臨みました。しかし、私は化学で自分の予想よりも低い点数を取りました。とても悔しい思いをしたので、それ以来化学の授業後に必ず、宿題とは別の課題を先生に頼みやっていました。その努力も実らず、テストの点は全く伸びませんでした。

そんな時に私は、課題を与えてくれていた化学の先生からこう助言されました。「勉強をそんなにしなくてもいいと思う。もっと息抜きの時間をとりなさい。」このような助言を先生から受けたことが初めてだったので、とても驚きました。ただ、そのおかげか、今こうして希望の大学に進学することができました。

私はこの時、希望の大学へ進学をするという目標と勉強をするという手段を履き違えていました。これらを踏まえて、前の自分を振り返ると勉強した気になっていただけなのだと思い直すようになりました。とりあえず先生からもらった課題をたくさんやっていたら大丈夫だという、目的のない作業をしていたのです。作業になった瞬間思考は停止してしまい、自分自身を向上させることはできなくなります。

これらの経験を踏まえて私は、人というのは常に目的と手段を区別し、思考を続けなければ更に向上することはできないと思うようになりました。今後、英国の学校で学んだこの経験を活かして、進学先でも成長をしていきたいと思います。

最後になりましたが、これまで支援してくださった財団の方々、本当にありがとうございます。今後も2枚、3枚と殻を割り、自分自身をまずは成長させていこうと考えています。これからもよろしくお願い致します。