お知らせ

Mさん(男生徒)都立小石川中等教育学校出身

この2年間、最初の8か月以降はコロナ禍の中での留学生活という全く予想していなかったものになりました。感染が拡大し始めてからロックダウン、一時帰国、再渡英、再びのロックダウンを経て、ようやく高校を卒業して日本に戻ってくることができました。
その間、大学への出願、A-levelの試験など様々な困難を乗り越えなければいけませんでした。
現在進行形の事象の中に身を置いていると気づかないのですが、こうして振り返って見ると、自分が実際にやったとは信じられないほど大きな試練をくぐりぬけてきたことを改めて実感します。
はじめのころは英語が話せず、うまく周りとコミュニケーションが取れない中で自分の英語力のなさにこれから来るであろう大学受験などのことを思うと、不安でいっぱいでした。
しかし、そこは寮生活のいいところで、一緒に生活をする仲間たちと親密な関係を築くのに長い時間はかかりませんでした。本当に気の合う友人が数人いるということだけで、日常のストレスもだいぶ軽減されるものだと分かってから、物事を前向きに考えられるようになりました。英語力はネイティブに及ばなくても、数学などの教科では他の生徒を助けることもできると思い、自分の苦手を克服するだけではなく、好き、得意なことにも同じくらい時間をかけて取り組む姿勢を大切にしてきました。
できない事を嘆くのではなく、できるようになったことに目を向けられるようになったことは、自分の中での大きな成長です。

一方、大学受験は試練の連続でした。長い時間と労力をかけて出願した大学からの返事は必ずしも良い報せばかりではありませんでした。最終的にオファーをいただけたのは2校からだけでした。しかしこのプロセスの中で感じたのは、(語弊を恐れずに言えば)これは大学との相性診断のようなものだということです。
それぞれ違う基準を設けた大学に同じ内容の書類を出して、方針に合わないと判断されれば容赦なく落とされるし、その基準にマッチしていれば合格をもらえるというような感触で、結果的に自分に合った大学に入ることが長期的な成功につながると思っているので、オファーの数よりも、自分に合った大学に入学できるということに感謝しています。

今年度も去年に引き続き、A-levelの試験は中止となり、各学校内で行われる試験の結果をもとに成績が決定するという仕組みになっており、Fettesでは5、6月にかけて7週間にわたり試験と復習を繰り返す日々が続きました。精神的にも肉体的にも負担の大きかったこの期間、一緒に生活する仲間の存在は必要不可欠でした。同じ部屋で勉強したり、教えあったり、そういった相互的な支えあいの関係が学校生活の根幹にあるということを強く感じた瞬間でした。試験の結果は満足いくもので、今は最終成績が返ってくるのを待っているところです。

この留学生活を語る上で避けられない話題はコロナウイルスです。ホストファミリーや寮生が感染してしまったり、生活の様々な部分で制限を強いられたりして、いい思い出はあまりないのですが、オンラインの活用などいろいろな工夫で体験の機会を減らすことなく、学ぶことも多かったと思います。不確実性という言葉がこの2年をよく言い表していると思いますが、不確実性がもたらすのは不安だけではなく、未来に対する可能性です。
これからの見通しのつかない世界の中で、不確実性をチャンスととらえ、自分の成長につなげていきたいと思っています。

最後に、この2年支えてくださった学校の先生方、友達、家族、そしてTazaki財団の皆様に改めて心より感謝申し上げます。