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Iさん(女生徒)都立日比谷高等学校出身

初めて半日もの長さのフライトを経験しイギリスの土を踏んでから、早いもので2年が経とうとしています。この2年間を通して、学問的な部分を離れて学んだことの1つは、簡単な言葉でまとめてしまえば異文化、多文化を理解することの難しさ、でしょうか。。

イギリスでの学校生活を始める前は、周りの人に話しかけてみれば簡単に誰とでも話せるのではないかと楽観的に考えていました。
しかし実際は、一対一ならまだなんとかなるものの、周りのイギリス人の生徒たちが数人で雑談していると内容が全く聞き取れず、自分が話に参加することもできないことにとても苦労しました。いろいろな人と話ができないことが残念なだけでなく、話さない、話せないことはお互いの理解が進められないことを意味します。
さらに特に最初は、例えばクラブやディスコなど、自分があまり馴染めないような文化的な違いが多くあるなと感じることも多く、漠然と、周りの人たちが皆同じように見え、さらに皆一様に自分と違うのだ、授業の前などに少し話すことはあっても、それは表面だけで本当にお互いをわかり合うことはできないのではないかと感じてしまうこともありました。
今思うと、これが私にとっての「カルチャーショック」だったのだと思います。
けれどだんだん時間が経つにつれ、そして私の英語が少しずつましになっていくにつれ、だんだんとそうではないのかもしれない、とわかってきました。まず、他の国からきた留学生の友人と話しているときに、彼らも文化の違いに驚き苦しんだということがわかったことが自分をどこか安心させてくれました。少なくとも自分だけが違うのではない、皆それぞれ違いを感じることは留学生として当然であり、自分は英語をうまく使えなかったせいでそれをより大げさに受け取ってしまっただけなのではないだろうかと感じたからだと思います。
また、少しずつ英語がわかるようになり、出願する大学の話などもしたおかげで、イギリス人の生徒たちもみんな一人一人違いがあり、自分と変わらない高校生なんだという当然のことに目を向けられるようになったように感じました。
結局前より多くの人と話せるようになったと実感したのは今年の3月くらいで、オンライン授業の期間がなければもっといろいろな人と早く仲良くなれていたかもしれないと思うこともありますが、それはどうしようもないことなので仕方がありません。今の私は、大学に入ったら周りの人に積極的に話しかけるように頑張ろう、とイギリスに行く前と同じようなことを考えていて、英語力の面を除いたら2年前と変わっていないように見えるかもしれません。
けれど多分それは違っていて、その間に異文化を理解する本当の難しさ、けれどそこで理解しようとせずに立ち止まるのではなく、みんな同じ人間で同じようなことを考えたり、でもそれぞれ個性があって違うことを考えていたりしているということを経験を通して学べたことは、とても自分の中で意味があったと感じています。

今までにない事態も色々と起こった2年間でしたが、いつも変わらずサポートをしてくださった財団の皆様、本当にありがとうございました。これから大学生として新たな場所で新たなスタートを切ってからも、よろしくお願いいたします。